- クラクションが鳴らない原因は4つ。壊れやすい順はロールコネクタ・リレー・ヒューズ・ホーン本体
- 症状から原因を絞り込む|鳴り方でどこが壊れているかを見分ける
- ロールコネクタ(スパイラルケーブル)の断線を確認する方法と交換
- ホーンリレーの故障を確認する方法|「カチッ」という作動音で生死を判定する
- ヒューズ切れを確認する方法と交換手順
- ホーン本体の故障を確認する方法|バッテリー直結で単体テストする
- クラクションが鳴らない時の修理費用の目安|箇所別の部品代と工賃
- クラクションが鳴らない状態で車検は通るのか
- 逆にクラクションが鳴りっぱなしになる場合の原因
- 自分で交換するか整備工場に出すかの判断基準
- クラクションが鳴らないときによくある質問
- まとめ|症状で当たりを付けてから点検する
ホーンボタンを押しても音が出ない。整備の現場では珍しくない不具合で、走行距離が10万kmを超えたクルマだと特によく入ってきます。
原因になる部品は4つしかありません。ただ、4つを片端から外していくと手間がかかるので、先に症状で当たりを付けてから点検するのが早い。この記事では、症状から原因を絞り込む手順と、それぞれの確認方法・交換のしかた・かかる費用をまとめます。
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クラクションが鳴らない原因は4つ。壊れやすい順はロールコネクタ・リレー・ヒューズ・ホーン本体
ホーンの回路は一見単純ですが、ホーン本体だけで音が出ているわけではありません。バッテリーからホーン本体まで、間にヒューズとリレーが入り、さらにハンドルの中を通る配線があります。このどこか1か所でも切れていれば音は出ません。
整備の現場で実際に壊れている頻度が高い順に並べると、次のようになります。
- ロールコネクタ(スパイラルケーブル)|ハンドルの中の巻きケーブル。経験上いちばん多い
- ホーンリレー|エンジンルーム内。壊れる率が高い部品の上位
- ヒューズ|切れていれば交換するだけ。見落としやすい
- ホーン本体|フロントバンパーの内側。脱着が楽で修理は一番安く済む
ただしこれは「壊れる頻度」の順であって、点検する順番ではありません。ロールコネクタから見に行くとハンドルを外すことになり、いきなり大掛かりになります。次の章で、外す部品が少なくて済む絞り込み方を説明します。
症状から原因を絞り込む|鳴り方でどこが壊れているかを見分ける

まず、どういう鳴らなさ方をしているかを確認します。ここで当たりが付けば、外す部品がかなり減ります。
| 症状 | 疑う箇所 | 次に見るところ |
|---|---|---|
| まったく音が出ない | 4か所すべてが候補 | ホーンボタンを押して「カチッ」と音がするか確かめる |
| ハンドルの位置によって鳴ったり鳴らなかったりする | ロールコネクタ | エアバッグ警告灯が点いていないか確認する |
| エアバッグ警告灯も点灯している | ロールコネクタ(ほぼ確定) | 整備工場へ。自分で外す部位ではない |
| 音は出るが小さい・かすれる | ホーン本体 | ホーンを外して単体で鳴らしてみる |
| エンジンを切ると鳴らない | 電源の取り方の問題 | 別記事で解説 |
いちばん手っ取り早い切り分けは「カチッ」音の確認です。静かな場所で運転席に座り、ホーンボタンを押してみてください。エンジンルームの方から小さくカチッと音が聞こえれば、ホーンリレーは動いています。
- カチッと鳴る|リレーは生きている。ヒューズかホーン本体を疑う
- カチッと鳴らない|リレーが動いていない。リレー本体か、その手前のロールコネクタを疑う
なお、エンジンをかけているときは鳴るのに切ると鳴らない、という症状は故障ではなく電源の取り方によるものです。こちらはクラクションがエンジンを切ると鳴らない理由で別に扱っています。
ロールコネクタ(スパイラルケーブル)の断線を確認する方法と交換

先に回路の形を見ておくと、この後の話が分かりやすくなります。ホーンの回路は電源側と制御側の2本立てです。ボタンを押すと制御側に電気が流れてリレーの接点が閉じ、そこで初めて電源側の大きな電流がホーン本体へ届きます。
ロールコネクタは、この制御側の途中にあります。部品名はスパイラルケーブル、SRCと呼ばれることもありますが、どれも同じものです。

ロールコネクタが壊れているときのサイン
ハンドルは回転しますが、中を通る配線は切れずについてこないといけません。そのために配線を渦巻き状に巻いてあるのがこの部品です。ハンドルを回すたびに巻いたり戻したりを繰り返すので、稼働部品としてはかなり過酷な使われ方をします。
分かりやすいサインは2つあります。
- ハンドルの角度で鳴ったり鳴らなかったりする|完全には切れておらず、巻きの位置によって接触が切れている状態
- エアバッグの警告灯も一緒に点いている|同じ部品の中をエアバッグの配線も通っているため。これが出ていればほぼ確定
交換はハンドルとエアバッグの脱着が必要になる
ロールコネクタはハンドルの内側、コンビネーションスイッチの手前にあります。交換にはハンドルを外し、その前にエアバッグモジュールを取り外す必要があります。
部品代も高い部類です。単体で20,000円から40,000円ほど。予防で早めに替えるという性質の部品でもないので、壊れてから直すことになります。
古いバスや大型トラックにはロールコネクタが付いていないことがありますが、代わりに真鍮とプレートで作られた同じ役割の部品が入っています。こちらも単品では部品が出ず、アッセンブリでの交換になるので30,000円ほどからです。
ホーンリレーの故障を確認する方法|「カチッ」という作動音で生死を判定する
経験上、壊れる率が高い部品の上位に入るのがホーンリレーです。ロールコネクタと違って場所がエンジンルーム内なので、確認も交換も難しくありません。
音で確認する
とりあえず運転席に座ってホーンを鳴らしてみます(鳴らないわけですが)。静かな車内でボタンを押したときに、前方から「カチッ」と音が聞こえてきたら、ホーンリレーは生きています。ホーンリレーはたいていエンジンルーム内にあるので、音は前から聞こえてきます。
ここで音が鳴ったなら、リレーとその手前の制御側は正常です。あとはヒューズとホーン本体を見ていきます。
テスターで確認する
より確実なのはテスターを使う方法です。リレーの前後で通電を測れば、接点がちゃんと開閉しているかが分かります。ホーンを鳴らしたときに通電していなければ、リレー本体の不具合と判断できます。
逆に、鳴らしてもリレーが動いていない場合は、リレー本体の故障か、リレーより手前で電気が来ていないかのどちらかです。手前ということは、ハンドルの中のロールコネクタを疑うことになります。
テスターは1台持っておくと電装のトラブル全般で使えます。数千円のもので十分です。
ヒューズ切れを確認する方法と交換手順

意外と見落とされるのがヒューズです。切れていれば交換するだけなので、修理としては一番簡単で一番安く済みます。
それと、交換してもまたすぐ切れる場合は、ヒューズが原因ではありません。どこかでショートしているので、その原因を探す必要があります。
ヒューズは形状もアンペア数も種類があるので、まとめて揃うセットが1つあると困りません。
ホーン本体の故障を確認する方法|バッテリー直結で単体テストする
ホーン本体が壊れていたら、正直いちばんありがたいパターンです。フロントバンパーの内側に付いていて脱着が簡単なので、修理としては一番楽に済みます。
外して単体で鳴らしてみる
確認方法は、いったんホーンを取り外して、ホーン単体で鳴るかを見ることです。何でもいいので配線をホーンの端子に噛ませ、バッテリーに直結します。
配線を接触させた瞬間に鳴るので、耳を塞いでおくか、少なくとも覚悟はしておいてください。
直結して鳴らなければ、ホーン本体の故障で確定です。交換します。逆に鳴ってしまった場合は本体は正常なので、ここまでで残った箇所を見ていくことになります。
2個付いている車は片方だけ壊れることもある
高音と低音で2個のホーンが付いている車の場合、片方だけが死んで音が薄くなることがあります。「鳴るけれど音が変わった」「音が小さくなった」という症状はこれです。交換するなら2個セットで替えたほうが音のバランスが揃います。
クラクションが鳴らない時の修理費用の目安|箇所別の部品代と工賃
同じ「鳴らない」でも、どこが壊れているかで金額は数百円から3万円台まで開きます。下の表は部品代と工賃の目安です。
| 箇所 | 部品代の目安 | 工賃の目安 | 自分でできるか |
|---|---|---|---|
| ヒューズ | 5個入り329円(税込)から | 自分で交換すればかからない | できる |
| ホーンリレー | 汎用の4極リレーで923円〜1,099円(税込)。純正指定品は車種ごとに異なる | 差し替えるだけなので小さい | 場所が分かればできる |
| ホーン本体 | 社外品で数千円から | 取り付け4,400円(税込)の実績あり。バンパー脱着が必要な車種は別途 | できる場合が多い |
| ロールコネクタ | 14,200円(日産セレナの交換実績)。一般には20,000円〜40,000円 | 9,600円(同実績。総額26,180円) | できない |
部品代はエーモン工業の平型ヒューズと4極リレーの販売価格(モノタロウ)を、工賃は整備工場が公開している作業実績(スパイラルケーブル交換/ホーン取り付け)を参照しています。車種と依頼先で変わるので、実際の金額は見積もりで確認してください。
覚えておくと得なのは、ロールコネクタだけが桁違いに高いということです。ここが原因だと総額2万円台後半から3万円台になります。他の3か所なら、部品代は数百円から数千円で収まります。
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クラクションが鳴らない状態で車検は通るのか
通りません。道路運送車両の保安基準 第43条第1項に「自動車(被牽引自動車を除く。)には、警音器を備えなければならない」と定められており、鳴らない状態は基準を満たしていないことになります。
同条では、警報音の音色や音量についても告示で定める基準に適合することが求められています。車検を控えているなら、他の整備と一緒に直しておくのが確実です。
公道を走る際の扱いについてはクラクションが鳴らない車の違反と罰則で詳しく扱っています。
逆にクラクションが鳴りっぱなしになる場合の原因
鳴らない不具合とは逆に、押していないのに鳴り続ける、あるいは押した後に止まらなくなるという症状もあります。こちらはホーンボタン側の接点が戻らなくなっているか、リレーの接点が張り付いているかのどちらかであることが多いです。
止まらないと周囲の迷惑になるので、応急処置としてはホーンのヒューズを抜くか、ホーン本体の配線を外します。原因の切り分けと直し方はクラクションが鳴り続けるときの原因と対処にまとめています。
自分で交換するか整備工場に出すかの判断基準
4か所のうち、自分でやっていいものと工場に出すべきものははっきり分かれます。
- ヒューズの確認と交換
- ホーン本体の単体テストと交換(バンパーを外さずに手が届く車種)
- ホーンリレーの差し替え(場所が特定できている場合)
- ロールコネクタの交換(エアバッグの脱着を伴う)
- ヒューズを替えてもすぐ切れる場合(どこかでショートしている)
- 4か所とも正常で、配線の断線が疑われる場合
配線の断線は、直すこと自体は難しくありません。バイパスしてやれば解決します。大変なのはどこで切れているかを特定する作業のほうです。ダッシュボードの中で切れていたりすると、内装を開けていくことになって工数がとんでもないことになります。
テスターで地道に追っていくしかない世界なので、ここまで来たら工場に任せたほうが早いです。
クラクションが鳴らないときによくある質問
まとめ|症状で当たりを付けてから点検する
クラクションが鳴らない原因は4つ。片端から外していくのではなく、まず症状で絞り込みます。
- ボタンを押してカチッと鳴るなら、ヒューズかホーン本体
- カチッと鳴らないなら、リレーかロールコネクタ
- ハンドルの角度で変わる、エアバッグ警告灯も点くなら、ロールコネクタでほぼ確定
- 音が小さい・かすれるなら、ホーン本体
費用はロールコネクタだけが飛び抜けて高く、総額で2万円台後半から。他の3か所なら部品代は数百円から数千円で収まります。そして鳴らない状態のままでは車検に通りません。




