エンジンオイルのグレード(規格)とは|SPやSNの意味を解説

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エンジンオイルのグレードとは一般的に”規格”を表します。エンジンオイルのパッケージには5W-30やSP,CE級など様々な表記があり、その中でもSPやSNなどと記載されているのがグレード及び規格と呼ばれているものです。

このグレードにはランクがあり高いほど性能が良いオイルであることが分かります。この記事ではエンジンオイルのグレードについて理解を深める記事となっています。

エンジンオイルのグレード種類

エンジンオイルのグレードとはイコール規格のことで、ちゃんとした品質が満たされているかを表しています。

ざっと4種類ほど存在し、ガソリンエンジン用、ディーゼルエンジン用、バイク用、2サイクル用など、様々なオイルに対応できるように規格が存在します。各規格について解説をしていきます。

API規格

API規格とはEOLCSが定めた規格です。

EOLCSとは

エンジンオイル認証システム「Engine Oil Licensing and Certification System」の略。1993年にアメリカ石油協会(API)、アメリカ自動車技術者協会(SAE)、アメリカ材料試験協会(ASTM)、アメリカ自動車工業会などの団体によって構成されている。

ガソリンエンジン用規格ではオイルの酸化安定性、洗浄性、せん断安定性などの複数の審査項目からSA~SPの14種類のグレード分類があります。おそらく最も見掛けるグレードですね。

ディーゼル用規格ではCA~CK-4のグレードがあり、国内ではCF-4までが主流です。

ガソリン車では「S」、ディーゼル社では「C」から始まるアルファベットがあるのがこの企画の特徴です。また、ガソリン/ディーゼル兼用のオイルの場合だと「SL/CF」といった風に2つの規格が表示されています。

■ガソリンエンジン用規格

グレード特徴
SAベースオイルのみの添加剤無し
SB最低限の分散剤のみ配合
SC防錆性能・耐摩耗性・カーボンデポジット除去性
SDSCより性能アップ
SESDより性能アップ
SF酸化・防錆・高温/低温デポジット効果向上
SG耐摩耗性・酸化安定性向上
SHスラッジ防止・高温洗浄性が向上
SJ蒸発安定性・せん断安定性が向上
SL省燃費性能・排ガス浄化・オイル劣化防止が向上
SM耐熱・耐摩耗性が向上
SN省燃費性能持続・触媒保護性能向上
SNPlusLSPI性能が向上
SPチェーン摩耗対策・省燃費向上

■ディーゼルエンジン用規格

グレード特徴
CA軽度~中負荷ディーゼルエンジン用
CB軽度~中負荷ディーゼルエンジン用。低燃費燃焼・高硫黄含有燃料に対応
CC自然吸気ディーゼルエンジン用。中負荷~高負荷に対応
CD過給式ディーゼルエンジン用。幅広い燃料に対応
CD-Ⅱ2サイクルディーゼルエンジン用
CE高負荷過給式ディーゼルエンジン用。
CF-4高負荷大型ディーゼルエンジン用。低硫黄(0.5%)燃料使用。
オイル消費防止性・デポジット抑止性
CF建設機械用。CDと同性能
CF-2高負荷2サイクルディーゼルエンジン用
CG-4高負荷ディーゼルエンジン用。低硫黄燃料使用車。
CH-4高負荷ディーゼルエンジン用。1998年排出ガス規制に対応。
CI-4高負荷ディーゼルエンジン用。2002年排出ガス規制。

ILSAC規格

ILSAC規格とは国際潤滑油標準化認証委員会(International Lubricant Standardization and Approval Committee)が定めたガソリンエンジン用の規格です。

APIの認証システムでは、低品質油を市場から無くすのが難しいため、ILCSAが作られました。API規格と同様に表記されていることが多く「SP/GF-6」などILSAC規格だと「GF」と表現されています。数値が高いほど省燃費性に優れた最新のオイルになります。

国内で流通しているオイルのほとんどはこのAPI規格とILSAC規格で表現されており、それぞれのマークが表記されているものであれば、品質ともに問題はありません。

JASO規格

JASO規格とは日本自動車規格「Japanese Automobile Standards Organization」が定めたエンジンオイルの規格です。主にバイク用オイルや2サイクルエンジン用のオイル規格として用いられています。

動摩擦維持指数(DFI)、静摩擦維持特性(SFI)、制動時間指数(STI)の3つの基準値を要し、基準値以内であればMA、基準値以外ならMBとなります。

■自動二輪車4サイクルエンジン油規格

グレード特徴
MAMT車に使用。高摩擦特性・せん断安定性が高い
MA2MA2指定車が必ず使用すること。MAより粘度が高い
MA1MA1指定車が必ず使用すること。MAより粘度が低い
MBスクーター用オイル。摩擦特性が低い

2サイクルガソリン機関潤滑油規格

グレード特徴
FA最低限の性能を有する
FBFAより潤滑性・清浄性が向上
FCスモークレスタイプ。FBより排気系閉塞性・排気煙が向上
FDFCより清浄性が向上

ACEA規格

ACEA規格とは欧州自動車工業会(Association des Constructeurs Europeens d’Automobiles)が定めた規格です。BMW、VW、ポルシェなど欧州自動車メーカー15社が設立した団体のため、欧州車専用オイルにはこの規格が用いられる。

アウトバーンでの走行を想定した性能を確保するようになっており、耐久性重視のオイル特性を持つ傾向にあります。ガソリンエンジン用、ディーゼルエンジン用などに細かくカテゴリーが分類されているのが特徴です。

■カテゴリー分類

グレード特徴
Aカテゴリーガソリンエンジン用
Bカテゴリー軽負荷ディーゼルエンジン用
Cカテゴリークリーンディーゼルエンジン用
Dカテゴリー高負荷ディーゼルエンジン用

規格から選ぶべきか?

ここまで説明したように、国産車、米国車であれば「API規格&ILSAC規格」であること、二輪車であれば「JASO規格」、ドイツ車なら「ACEA規格」のオイルを使っておけば基本問題はありません。

オイル選びにおけるグレードに関していえば、APIならSN以上だったりを選んでおけば、基本的に性能はいいので、使用していく上で問題はないでしょう。最近の市販されているものなら、基本的に最底辺の品質は保たれています。

関連記事:【基礎知識】エンジンオイルの選び方・交換時期の解説

エンジンオイルのグレードまとめ

4つの規格についてまとめました。これらグレードはエンジンオイルの一定の品質を担保するために必要な規格です。規格内でランクのように序列は決められていますが、年々上位の規格が出てきて、そのたびに古いグレードのオイルが作られないようになってきているので、そこまでシビアにグレードを意識してオイルを選ぶ必要はありません。

最新の規格から後ろ3つくらいはまだ使われているので、「なぜこのオイルは安いんだろう?」といった疑問は解決できることと思います。

この記事を書いた人

こんにちは!メカラブ編集部です!現役整備士として現場で整備に携わっていて、そこで培った経験や実際のお客さんとのやり取りなどを通して、記事に落とし込んでいます。現場目線のリアルな生きた情報を届けることをモットーに記事を書いているので、自動車大好きな方はぜひご参考にしてください!

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