車検・点検

車検の透過率は70%以上|対象ガラス・測定方法・フィルムの注意点

車検の窓ガラス透過率70%基準を解説するメカラブのアイキャッチ

「透明なカーフィルムなら車検に通る」「車検対応と書いてあるから大丈夫」と思っていませんか。窓ガラスの合否は、フィルム単体の性能ではなく、ガラスとフィルムを組み合わせた状態の可視光線透過率で判断されます。

結論からいうと、一般的な乗用車では前面ガラス、運転席側、助手席側の窓ガラスで可視光線透過率70%以上が必要です。この記事では、対象になるガラス、測定方法、フィルム施工車の注意点、不適合だったときの対処を整備士の視点で解説します。

この記事のポイント

  • 前面・運転席側・助手席側は可視光線透過率70%以上が基準
  • 透過率は「ガラス+フィルム」の施工後の状態で測る
  • 「車検対応」の商品表示や施工証明書だけでは合格を保証できない
  • 70%付近なら車検前に指定整備工場などで実測する

車検の透過率は前3面で70%以上が基準

車検で確認されるのは「可視光線透過率」です。これは、人の目に見える光を窓ガラスがどの程度通すかを割合で表した数値です。100%に近いほど明るく、数値が低いほど暗く見えます。

道路運送車両の保安基準第29条では、運転に必要な視野を確保できる窓ガラスであることが求められています。さらに、国土交通省の細目告示第195条では、前面ガラスと運転席・助手席側の窓ガラスについて、可視光線透過率70%以上という基準が示されています。

したがって、測定結果が70%なら基準内ですが、69%では基準を満たしません。測定誤差やガラスの状態もあるため、施工時に70%ぎりぎりを狙うのは避け、余裕のある数値を確保するのが安心です。

車検で可視光線透過率70%以上が必要なガラスの範囲
前面・運転席側・助手席側は可視光線透過率70%以上が必要です

70%基準の対象になるガラスと対象外のガラス

窓ガラスは場所によって扱いが異なります。まずは、自分の車のどの部分を確認すべきか整理しましょう。

ガラスの位置 一般的な乗用車の基準 確認ポイント
前面ガラス 可視光線透過率70%以上 上部の着色部分や貼付物にも別の制限がある
運転席側 可視光線透過率70%以上 透明フィルムでも施工後に測定する
助手席側 可視光線透過率70%以上 運転席側と同じ基準で確認する
後部座席側・後面 通常は70%基準の対象外 安全な後方視界や車種ごとの要件を確認する

前面ガラス

前面ガラスは運転者の正面視界に直結するため、70%以上の透過率が必要です。色付きフィルムだけでなく、透明な断熱フィルムでも施工後の数値が基準を下回れば不適合になります。

また、ステッカーや装飾品を貼れる位置・大きさにもルールがあります。透過率だけを満たしていても、視界を妨げる貼付物があると指摘される可能性があります。

運転席・助手席側の窓ガラス

運転席側と助手席側も70%以上が必要です。左右確認、歩行者や自転車の発見に使う重要な窓なので、濃いスモークフィルムは貼れません。純正ガラス自体が少し着色されている車もあり、透明フィルムを重ねるだけで70%付近になる場合があります。

後部座席側・後面ガラス

一般的な乗用車では、後部座席側と後面ガラスは前3面の70%基準の対象外です。そのため、プライバシーガラスや濃いスモークフィルムが使われています。ただし、車種や用途によって条件が異なるほか、後方確認を著しく妨げる状態は安全上おすすめできません。迷う場合は車検証の用途・車体形状も含めて整備工場へ確認してください。

透過率はガラスとフィルムを合わせた状態で測定する

車検の透過率で最も誤解されやすいのが、製品カタログの数値と実車の測定値の違いです。判定対象はフィルム単体ではなく、車両のガラスにフィルムを貼った完成状態です。

ガラスとフィルムを合わせた可視光線透過率の測定手順
製品表示だけで判断せず、施工後の合算値を測定します

たとえば、ガラス単体で十分明るく見えても、フィルムや接着層を重ねれば光を通す割合は下がります。さらに、ガラスの個体差、経年劣化、傷、汚れ、測定箇所によっても結果は変わります。

自動車技術総合機構(NALTEC)の審査事務規程 第9章9-4「窓ガラスの透過率(可視光線透過率測定器)」では、運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲にフィルム類その他が装着・貼付・塗装されていることが確認されたときは、可視光線透過率測定器を用いて計測すると定められています。測定器は受検車両ごとに校正して使います。肉眼で明るく見えるかどうかではなく、測定値が判断材料です。

自宅の簡易測定は目安にとどめる

スマートフォンアプリや安価な簡易測定器は、施工前後の変化を見る参考にはなります。しかし、検査時と同じ条件・機器ではないため、その数値だけで「必ず車検に通る」とは判断できません。70%付近を示す場合は、指定整備工場や測定設備のある施工店で事前に確認しましょう。

カーフィルムを貼った車が注意すべきこと

透明フィルム・UVカットフィルム

透明でも光を100%通すわけではありません。UVカットや断熱性能を持つフィルムは便利ですが、純正ガラスとの組み合わせによって70%を下回ることがあります。特に年式の古い車や、もともとの透過率が低めのガラスは施工前の実測が大切です。

ゴーストフィルム・発色フィルム

見る角度で色が変わるゴーストフィルムも、色の薄さや商品名ではなく実測値で判断されます。車種、ガラス、ロット、施工状態で数値が変わるため、「同じ製品を別の車に貼って通った」という事例は保証になりません。

「車検対応」表示と施工証明書

「車検対応」は、一定の条件で基準を満たすよう設計された製品であることを示す参考情報です。すべての車で合格するという意味ではありません。施工証明書も施工内容を伝える資料としては有用ですが、最終的には実車の状態と検査時の測定結果で判断されます。

整備士からの注意

「前回の車検では測られなかった」「知人の車は同じフィルムで通った」という経験だけで判断しないでください。検査時の状態が基準を満たしていることが必要です。

透過率不足で車検に通らないときの対処

透過率不足を指摘されたら、次の順番で対応します。

  1. 測定箇所と測定値を確認する
    どのガラスが何%だったかを確認します。
  2. ガラス表面を清掃して再測定する
    大きな汚れや付着物があれば除去します。ただし、清掃だけで大幅に改善するとは限りません。
  3. 基準未満ならフィルムを剥がす
    前3面のフィルムが原因なら、無理に再検査を繰り返さず剥離を検討します。
  4. 糊残りを除去して測る
    フィルムを剥がしても接着剤が残ると視界や測定に影響します。
  5. 整備工場で再確認する
    基準を満たしたことを確認してから再検査を受けます。

フィルムの剥離は、熱線やアンテナ、内装を傷めることがあります。自信がない場合は施工店や整備工場へ依頼してください。三咲モータースでは、車の状態を確認したうえで必要な整備をご案内しています。車検前の不安がある方は、車検・点検サービスをご覧ください。

車検前に自分でできる確認

  • 前面・運転席側・助手席側に後貼りフィルムがないか確認する
  • 施工時の商品名、施工日、測定記録を確認する
  • 気泡、剥がれ、白濁、深い傷、糊残りがないか見る
  • ステッカー、吸盤、カメラなどが視界を妨げていないか確認する
  • 数値が不明、または70%付近なら車検前に専門店で測定する

窓ガラス以外にも、車検では灯火類、タイヤ、警音器など多くの項目を確認します。事前点検では、クラクションが鳴らないときの確認方法や、タイヤ交換時期の判断方法も参考にしてください。

車検の透過率に関するよくある質問

透過率70%ちょうどなら車検に通りますか?

測定値が70%以上で、ほかの視界要件にも適合していれば基準内です。ただし、機器・箇所・ガラス状態による差を考えると、施工時点で70%ちょうどを狙うのはおすすめできません。余裕を持たせましょう。

後部座席のスモークフィルムは車検に通りますか?

一般的な乗用車の後部座席側・後面ガラスは、前3面の70%基準の対象外です。ただし、車種・用途ごとの要件や安全な後方視界は確認が必要です。

透明フィルムなら透過率の測定は不要ですか?

いいえ。透明でも透過率は下がります。後貼りフィルムの装着が確認されれば色の濃さにかかわらず計測の対象になるため、施工後の状態での実測値を把握しておきましょう。

車検で毎回必ず透過率を測られますか?

前面ガラス・側面ガラスの必要な視野の範囲にフィルム類などの装着が確認されたときは、可視光線透過率測定器で計測することになっています。フィルムを貼っていない車まで一律に測るわけではありませんが、後貼りフィルムがある車は測定対象と考えてください。

まとめ

車検時の可視光線透過率は、前面・運転席側・助手席側で70%以上が基準です。フィルム単体のカタログ値ではなく、ガラスとフィルムを組み合わせた施工後の数値で判断されます。

透明フィルムや「車検対応」の製品でも、車両との組み合わせ次第では基準を下回ります。とくに70%付近の車は、車検直前に慌てないよう、測定設備のある施工店や指定整備工場で事前に確認してください。

こんにちは!メカラブ編集部です!現役整備士として現場で整備に携わっていて、そこで培った経験や実際のお客さんとのやり取りなどを通して、記事に落とし込んでいます。現場目線のリアルな生きた情報を届けることをモットーに記事を書いているので、自動車大好きな方はぜひご参考にしてください!