車検・点検

車検で冷却水の交換は必要?合否との関係・交換時期・漏れの注意点

車検と冷却水の関係を解説する記事のアイキャッチ

車検の見積もりで「冷却水(クーラント)を交換した方がよい」と言われると、交換しなければ車検に通らないのか気になりますよね。

結論からいうと、冷却水の劣化や交換時期そのものは、車検の合否を直接判定する検査項目ではありません。ただし、冷却装置の水漏れや冷却水の量は点検対象です。交換が必要かどうかは、車検の合否とは分けて、車種ごとの指定時期と実際の状態から判断します。

POINT
「今の状態で検査基準を満たすか」と「次の点検まで安心して乗るために交換が必要か」は別の判断です。見積もりでは、交換を勧める根拠まで確認しましょう。

車検で冷却水の交換は必須ではない

車検では、保安基準に適合しているかを検査します。一方、車検と同時に行うことが多い法定点検では、国土交通省の手引に基づいて冷却装置の水漏れなどを確認します。さらに整備工場は、今後の故障を防ぐ予防整備として冷却水交換を提案することがあります。

車検の検査・定期点検・冷却水の予防整備の違いを示す図解
車検と冷却水整備の整理
区分確認すること判断
車検の検査保安基準に適合しているか冷却水の古さだけで合否を決めない
定期点検冷却水量、水漏れ、ホースなど異常があれば修理・整備
予防整備指定交換時期、使用年数、状態次回点検までの安全性を考えて交換

車検全体で何を確認するのか知りたい方は、車検で確認される主な点検項目もあわせてご覧ください。

車検整備で確認される冷却水のポイント

冷却水の量

冷却水は、エンジンの熱を受け取ってラジエーターで放熱するほか、冷却系統の防錆や凍結防止にも役立ちます。冷えている状態でリザーバータンクを見て、液面がFULLとLOW、またはMAXとMINの間にあるか確認します。

LOWを少し下回ったからといって、すぐに大きな故障と決まるわけではありません。しかし、短期間で繰り返し減る、リザーバータンクが空になる、といった場合は漏れの可能性があります。補充だけで済ませず原因を点検してください。

冷却水の漏れ

国土交通省の点検整備の手引では、冷却装置の水漏れを定期点検項目としています。ラジエーター、ラジエーターホース、ヒーターホース、ウォーターポンプなどから漏れていないかを確認します。

床に赤・緑・青・ピンクなどの着色した液が落ちている、エンジンルームから甘いにおいがする、白い乾燥跡があるときは、冷却水漏れを疑います。漏れたまま走ると冷却能力が低下し、オーバーヒートにつながるため、車検を待たずに点検が必要です。

冷却水の劣化と指定液

冷却水には一般的なLLCと、交換周期が長いスーパーLLCなどがあります。ただし、色だけで種類や適合を判断することはできません。同じ色でも仕様が異なる場合があり、車種によっては専用冷却液や複数の冷却回路を使っています。

注意
取扱説明書やメンテナンスノートで指定液を確認せず、色の似た冷却水を混ぜないでください。ハイブリッド車や電気自動車は、エンジン車と同じ補充方法を一律に使えない場合があります。

冷却水の交換時期は車種ごとに違う

「冷却水は車検ごとに交換」と一律に決めるのは適切ではありません。長寿命タイプが普及し、メーカー・車種・年式によって指定時期が大きく異なるためです。

メーカー公式の交換時期例
初回2回目以降
トヨタ乗用車の案内例16万kmまたは7年8万kmまたは4年
Honda N-WGNの案内例20万kmまたは11年12万kmまたは6年

距離と年数が併記されている場合は、通常はいずれか早い方が交換時期です。上表はあくまで公式案内の一例で、すべての車に共通する基準ではありません。ご自身の車に付属するメンテナンスノートを優先してください。

年数が経過した車は、冷却水だけでなくホース、樹脂タンク、ラジエーターキャップ、ウォーターポンプなど周辺部品も確認します。詳しくは10年以上の車の車検で注意するポイントをご確認ください。

車検で交換を勧められたときの判断基準

交換した方がよいケース

  • メンテナンスノートに記載された交換時期に達している
  • 漏れ修理やウォーターポンプ交換などで冷却水を抜く
  • 濃度や防錆性能などに問題があると点検で確認された
  • 指定と異なる液が混ざっている可能性がある

補充だけで済ませない方がよいケース

  • 短期間で液面がLOW以下まで下がる
  • リザーバータンクが空になっている
  • 車の下に着色した液や漏れ跡がある
  • 水温警告灯が点灯する、蒸気が出る
  • 甘いにおいが続く

見積もりで確認する3項目

交換を勧める根拠
指定時期への到達、漏れ修理、濃度や状態の問題など、理由を確認します。
使用する指定液
メーカー指定と適合する種類・濃度かを確認します。
作業範囲
補充だけか、全量交換・エア抜き・漏れ点検まで含むかを確認します。

冷却水を自分で確認する3ステップ

エンジンを冷やして冷却水量と漏れを確認する3ステップ図解

日常点検は、平坦な場所に停車し、エンジンが十分に冷えてから行います。リザーバータンクの液面がFULL〜LOWの範囲にあるか、周辺や床に漏れ跡がないかを確認してください。

警告
エンジンが熱い状態でラジエーターキャップを開けないでください。高温の蒸気や冷却水が噴き出し、やけどをするおそれがあります。

液面が少ないときも、すぐに水や手元の冷却水を足すのではなく、まず取扱説明書で補充場所と指定液を確認します。リザーバータンクが空、減り方が早い、漏れ跡がある場合は整備工場へ相談しましょう。

車検を待たずに点検したい症状

  • 水温警告灯の点灯や水温計の異常上昇
  • ボンネット周辺から蒸気が出る
  • エンジンルームから甘いにおいがする
  • 車の下に着色した液が落ちている
  • 短期間で冷却水が大きく減る
  • エンジンから普段と違う音がする

走行中に水温警告や蒸気が出た場合は、安全な場所に停車して無理に走り続けないでください。冷却水漏れやウォーターポンプ不良では異音を伴うこともあります。音から考えられる原因はエンジンから異音が出たときの原因で解説しています。

冷却水と車検のよくある質問

冷却水を交換しないと車検に落ちますか?
冷却水の劣化や交換時期だけで車検の合否が決まるわけではありません。ただし、冷却装置の漏れや不足などの異常は点検・修理が必要です。
冷却水は車検ごとに交換すべきですか?
一律ではありません。長寿命タイプでは車検周期より長い交換時期が指定される車もあります。メンテナンスノートの年数・走行距離を確認してください。
冷却水が少ないときは水道水を足してもよいですか?
車種や指定濃度、緊急時の扱いによって異なります。通常の補充は取扱説明書の指定に従い、タンクが空、急減、漏れがある場合は自己判断で足して走り続けず点検を受けてください。
冷却水の色が違っても混ぜてよいですか?
色だけでは適合を判断できません。異なる種類を混ぜると性能が低下する可能性があるため、メーカー指定液を確認してください。

まとめ

冷却水の交換は、車検に通すため常に必須という作業ではありません。一方で、冷却水量や水漏れは安全に関わる点検項目です。交換時期は車検周期で決めつけず、車種ごとのメンテナンスノートと現車の状態で判断しましょう。

短期間での急減、漏れ跡、水温警告、蒸気などがある場合は、次の車検を待たず整備工場へ相談してください。

こんにちは!メカラブ編集部です!現役整備士として現場で整備に携わっていて、そこで培った経験や実際のお客さんとのやり取りなどを通して、記事に落とし込んでいます。現場目線のリアルな生きた情報を届けることをモットーに記事を書いているので、自動車大好きな方はぜひご参考にしてください!