エンジンオイルは自動車にとって非常に重要な油脂類になります。オイルを空の状態で走行させると、エンストやエンジンの焼き付きにより、高額修理もしくは廃車のリスクが発生してしまいます。
この記事ではエンジンオイルが入っていない状態での走行の危険性や、そのまま走った場合にはどうなるかについて解説していきます。エンジンオイルをきちんと管理して快適な走行をしましょう。
オイルの警告灯が点いたときは?黄色は補充、赤はただちに停止
いま警告灯が点いていてこのページにたどり着いた方は、まずランプの色を見てください。同じオイル差しのマークでも、黄色(オレンジ)と赤ではやることが正反対になります。

黄色の油量警告灯:ゲージの下限以上なら走行可能。ただし早急に補充
黄色の油量警告灯は、エンジンオイルの量が減っていることを知らせるランプです。JAFは「オイルレベルゲージの下限以上であれば走行可能と考えられますが、早急にオイルを補充(交換)してください」と案内しています。逆に下限よりオイルが少ない状態で走り続けると、エンジンが焼き付く恐れがあるとされています(出典:JAF 油量警告灯)。
量の境界:安全な場所に停めてエンジンを止め、少し時間をおいてからオイルレベルゲージを抜いて量を確認します。下限(LOW)より上にオイルが付いていれば走行は可能と考えられますが、そのまま乗り続けず早めに補充・交換してください。下限を割っている、ゲージにオイルがほとんど付いてこない場合は走らせないでください。
赤の油圧警告灯:ただちに停車してエンジンを止める
赤の油圧警告灯は、エンジン内部にオイルを送る圧力が出ていないことを示します。日産の取扱説明書(E26型キャラバン)には「点灯したときは、ただちに安全な場所に停車してエンジンを止め、日産販売会社に連絡してください」「点灯したまま走行しないでください。エンジンを破損するおそれがあります」と明記されています(出典:日産 E26型 取扱説明書)。JAFも赤の油圧警告灯について「すぐにエンジンを停止してください」「点検が必要な状態のため、JAFへ救援要請をお願いします」としています(出典:JAF 油圧警告灯)。
赤い油圧警告灯が点いたら、走って整備工場まで行こうとしないでください。オイルを継ぎ足して様子を見るのも同じです。安全な場所に停めてエンジンを切り、ロードサービスか整備工場へ連絡してレッカーで運びます。
なお、警告灯の種類や表示のしかたは車種によって差があり、油量警告灯そのものが付いていないクルマもあります。点いたマークの色と形は、車載の取扱説明書で確認してください。
エンジンオイルを空の状態で走らせると焼き付きによる走行不能に陥る
結論として、エンジンオイルを空の状態で走らせていると、エンジンが焼き付き、走行中に停止する恐れがあります。そうなると自走不可の状態になるため、レッカーやけん引が必要になります。
仮に、修理をする場合でもエンジン内部の部品交換やエンジンの載せ替えといった重整備が発生。そうなると工賃、部品代含めて高額になります。最も手っ取り早いのが、クルマの乗り換えですが、予定していない急な出費となるので、非常に不便を強いられます。
そのため、エンジンオイルをこまめに点検をする必要があります。
エンジンが焼き付きをどうなるのか
エンジンが焼き付きを起こしてしまうと、エンジン内のピストンとシリンダーが癒着してエンジンがかからなくなってしまいます。走行不能に陥ってしまうため、クルマを動かすことができません。
エンジンオイルの役割はエンジン内部で動いている金属の潤滑です。内部のピストンやシリンダーが高速で動いており、絶えず摩擦が起きています。それら金属の間に油膜を作ることで金属の劣化や摩耗を防ぐことができます。そのエンジンオイルが空っぽになった場合には潤滑油としての役割が無くなり、高速で動く金属が摩擦により熱を持ちエンジン本体が焼き付いてしまうわけです。
エンジンからの異音や異臭を感じたらすぐにオイルをチェックする
予防策としては異音や異臭など日々の車の状態を気にして少しでも異変があったらメンテナンスをすることです。自分でできるメンテナンスとしては、オイルレベルゲージによるオイル量のチェック、ボンネットを開けたら異音や異臭などの確認です。
走行中に少しでも違和感があったらこれらチェックするようにしましょう。
関連記事:エンジンオイルが少ない原因とその対策!DIYで簡単にできる方法を紹介
オイルを空で走らせると高額修理になるケースがほとんど
オイルを空の状態で走行を続けると、エンジンの焼き付きによる故障になります。そして焼き付いたエンジンは、部品をひとつ交換して終わり、という直し方ができません。
直すとなると、エンジンを降ろして分解し、傷ついたピストンやシリンダー、ベアリング類を交換して組み直すオーバーホールか、エンジンそのものを別のものに載せ替えるかの二択になります。どちらもエンジンを車体から降ろす必要があり、周辺の配線・配管・補機類も外してつなぎ直します。部品代に加えて、この作業そのものに時間がかかるため、ほかの修理と比べて費用がふくらみます。
一方でオイル交換は、古いオイルとオイルエレメントを抜いて入れ替えるだけの作業です。同じ「エンジンの整備」でも、かかる手間はまったく違います。実際の費用は車種や工場によって変わるので、気になる場合は近くの整備工場で見積もりを取ってみてください。焼き付かせてから直すより、交換を続けておくほうが結果的に安く済みます。
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エンジンが焼き付く前兆
エンジンが焼き付く前兆として、異音や異臭が主です。これらはエンジンオイルが足りていないこと以外にも、そのほか不具合に気づくこともできるので、不調の判断基準として抑えておきましょう。
エンジンからの異音
エンジンを掛けたときに「ガラガラ」「ゴロゴロ」など、濁音が付く系の異音はエンジンオイル不足によるところが多いです。より原因を特定する場合、アクセルペダルを踏み回転数の上下で、音が変化する場合はエンジンからの異音であると判断できます。
勘違いしやすい音として「カンカン」「カリカリ」などの甲高い音や「キュルキュル」「シャーシャー」と言った音も出ることがあります。これらはベルトや冷却水漏れなどによるオーバーヒートの前兆であることが多いので、そちらにも注意を払いましょう。
関連記事:エンジンの異音の種類を原因・修理費用別で解説!自分でできるメンテナンス方法を伝授
エンジンからの異臭
走行中に焦げたようなにおいがしてきたら、まずは安全な場所にクルマを停めて、エンジンを止めてください。においの正体が焼き付きの手前なのか、オイル漏れなのか、ベルトなのかは、においだけでは切り分けられません。どれであっても共通して言えるのは「そのまま走り続けない」ことです。
焦げたにおいと一緒に赤い油圧警告灯が点いている場合は、ただちに停車してエンジンを止めてください。日産の取扱説明書にも「点灯したまま走行しないでください。エンジンを破損するおそれがあります」と書かれています。オイルを継ぎ足して走る、整備工場まで自走する、という判断はしないでください。
エンジンを止めたら、JAFなどのロードサービスか、かかりつけの整備工場へ連絡します。JAFも油圧警告灯について「すぐにエンジンを停止してください」「点検が必要な状態のため、JAFへ救援要請をお願いします」と案内しています(出典:JAF 油圧警告灯)。自走せず、レッカーで運んでもらうのが正解です。
整備士の立場から言うと、ここで無理に走らせてしまったクルマがいちばん厄介です。焼き付きが始まったエンジンは、オイルを足したところで削れてしまった金属面が元に戻るわけではなく、回した分だけ傷が深くなっていきます。停めた時点なら軽く済んだかもしれないものが、数キロ走らせたせいで手の付けられない状態になることがあります。停めて呼ぶ、がいちばん傷を浅くする方法です。
エンスト
エンジンの焼き付きが原因でエンストすることもあります。エンストした場合はほとんどが重症な場合です。その後、再度セルを回してエンジンがかかればいいのですが、どちらにせよエンジンへの負担が大きいことには変わりありません。こちらも異臭同様にオイル量のチェックなどから行ってください。
加速が遅くなる
オイルが少なくなることで、エンジン内の摩擦抵抗が増えスムーズにエンジンが回らなくなってしまいます。それにより加速が鈍くなるケースも考えられます。
毎日乗っていると気が付きにくい部分ですが、愛車の加速感も気にすると良いでしょう。
これらの症状は焼き付き以外でも起こる
ここまで挙げた異音・異臭・エンスト・加速不良は、オイル切れによる焼き付きだけで出る症状ではありません。エンジンまわりで似た症状を出す代表的なところを挙げます。
- ファンベルトの劣化:滑りによる異音、焦げたようなにおい
- 冷却水の不足:オーバーヒートによる異臭、出力の低下
- ウォーターポンプのベアリング損傷:エンジン回転に合わせた異音
- 点火プラグの不良:アイドリングの不安定、加速不良、エンスト
- 燃料ポンプの故障:始動不良、走行中のエンスト
やっかいなのは、症状の出方が焼き付きとよく似ていて、運転席から音とにおいだけで切り分けるのはまず無理だということです。ユーザー側で「これは焼き付きだ」と判定できる公的な基準もありません。
ですので、この章の使い方は「原因を当てる」ではなく「気づいたら停める」です。異音・異臭・エンスト・加速不良のどれかが出たら、まず安全な場所に停めてエンジンを止め、原因の切り分けは整備工場かロードサービスに任せてください。
エンジンが焼き付いてしまった場合
エンジンは焼き付いて走行不能になった場合は廃車となるケースがほとんどです。修理も可能なのですが、オーバーホールや載せ替えといったどれも高額修理になるため、乗り換えを選ぶ人がほとんどになります。
エンジンオーバーホールや載せ替え
エンジンが焼き付いてしまった場合は、エンジンを載せ替えるか、エンジンを降ろしてバラすオーバーホールになります。オーバーホールでは、シリンダーヘッドやオイルパンを外してピストン・クランクシャフト・ベアリング類まで分解し、傷んだ部品を交換したうえで規定の手順とトルクで組み直します。載せ替えの場合も、載っているエンジンを降ろしてリビルト品や中古エンジンに積み替え、補機類・配線・配管をすべて移し替える作業になります。
どちらも作業量が大きく、車種やエンジンの傷み具合によって内容も費用も変わります。だからこそ、焼き付きの前兆が見られた段階ですぐにクルマを止めて、整備工場へ連絡することがいちばん効きます。
廃車にする
焼き付いてどうしようもない場合はそのまま廃車を選ぶ人がほとんどです。よほど愛着があればいいのですが、日常の足としているユーザーはほとんどなので、焼き付きを起こして走行不能となった場合は廃車してしまう人がほとんどだと思います。
それでも次の車を探す期間や、車両購入費を考えると出費自体は修理大差ありません。前提としてエンジン不調が起こらないように日々のメンテナンスが必須となります。
エンジンオイルはなぜ減るの?
そもそも、エンジンオイルはなぜ減るのか疑問に思うことと思います。オイル自体、エンジンに不具合が無くても、微妙に減っていっています。今となっては珍しい2stエンジンでない限り、エンジンオイルが一緒に燃えるといったことはあまりないですが、エンジンによっては消費しやすい物も存在します。
また、10万キロを超す過走行により、エンジンの気密が保てずにオイルが一緒に燃えるケースもあります。過走行車の不具合も修理やメンテナンス次第で防げるものではありますが、正直10万キロを超す車に修理費用をかけるかは、個人によるところが多いです。
通常に使用していてもすこしづつエンジンオイルは減っていく
エンジンオイルは通常時にも少しづつ減ります。新車の状態ではあまり発生しないですが、車両を使用しているうちにエンジン内部のパーツも摩耗しエンジン内部の気密性が弱まりエンジンオイルが減る原因になります。またエンジンブレーキを掛けた時などにも、エンジン内の負圧が高まりエンジンオイルが燃焼室に吸い上げられるので燃焼しエンジンオイルが減る原因となります。ただ、これらの要因で減るエンジンオイルの量は少ないです。

エンジンオイル上がり
エンジン内部にあるピストンにはピストンリングというパーツがあります。これは上下に動くシリンダーをピストンリングとエンジンオイルでクッションの役割を果たしています。ただ、摩耗や損傷で隙間ができてしまうとエンジンオイルが燃焼室に入り込みます。すると燃焼室内でエンジンオイルは燃えてしまい、だんだんとエンジンオイルが減ってきます。これをエンジンオイル上がりと呼びます。
エンジンオイル下がり
エンジン燃焼室にはバルブを通して空気と燃料を送り込んでいます。バルブには排気バルブと吸気バルブがあります。吸気バルブで空気と燃料を送り込み、排気バルブは燃焼され発生したガスを排気します。この両方のバルブはそれぞれ動いており、バルブシールとエンジンオイルで摩擦を緩和しています。ただしエンジンオイル・バルブシールが劣化すると隙間ができそこから燃焼室にエンジンオイルが入ってしまいます。これをエンジンオイル下がりと呼びます。
エンジンオイル漏れ
エンジンからエンジンオイルが漏れることをエンジンオイル漏れと言います。エンジンオイルが漏れる原因はさまざまありますが、多いのはパッキンの劣化や事故・下回りを擦った時などにオイルパンを損傷した場合です。この場合はエンジンを回さなくてもどんどん漏れていき最悪のケースでは車両火災に繋がるケースもあります。エンジンルームの真下から液体が漏れていると思ったら要注意です。色が黒や茶色でにおいがある場合にはエンジンオイル漏れの可能性が高いです。
エンジンオイルが原因でエンジンが焼き付く他の要因
エンジンオイルの劣化
多額の修理費用が必要となるエンジンの焼き付き。エンジンオイルが空っぽになる以外でエンジンオイルが原因で焼き付きが発生するケースについてもお伝えします。まずはエンジンオイルの劣化です。エンジンオイルは1度入れたら劣化しないと思われている方もたまにいますが間違いです。後述しますが車を使用しているとエンジンオイルは常にエンジンの潤滑油として動いているので劣化します。エンジンオイルが劣化してくると潤滑油の働きが果たせなくなり、最終的にはエンジンが熱を持ち焼き付きの原因になります。
エンジンオイルの詰まり
エンジンオイルを交換しないことによるオイルの汚れなどがノズルに詰まりエンジンオイルが循環しない場合があります。またエンジンオイルは交換していてもオイルの汚れを取ってくれるフィルターの役割をするオイルエレメントを交換していなくて汚れが取りきれず詰まるケースもあります。どちらの場合もエンジンオイルが循環しなくなりエンジン焼き付きの原因になります。
関連記事:【整備士監修】オイルエレメントの効果や交換時期を解説!フィルターと同義?
なぜエンジンオイルは劣化するのか
熱による劣化
エンジンの内部を回っているだけのエンジンオイルがなぜ劣化するのか?主な3点を紹介します。まずは熱による劣化です。燃焼室で爆発を繰り返しているエンジンは高温になります。潤滑油の役目を果たしているエンジンオイルももちろん高温になり、100度以上の温度となります。高温になったエンジンオイルは劣化を進める大きな要因となります。
酸化による劣化
エンジンオイルは空気に触れると酸化します。エンジン内部に入ったからといって完全に密閉されているわけではないので少しづつ酸化します。そのため車を使う頻度が少なくてもエンジンオイルの劣化が止まることはありません。このような場合はエンジンオイルの交換を距離ではなく期間での交換管理が必要です。
スラッジによる劣化
スラッジとは燃焼室内で燃えたススのことを言います。スラッジはエンジンを回している以上どうしても発生してしまいます。それがエンジン内部に残らないようにエンジンオイルがスラッジをオイル内部で留めています。ただスラッジはどんどんオイル内部に溜まっていきますので、これが劣化の原因になります。
エンジンオイルはどのくらいで交換すれば良いのか
車により交換基準は異なる
エンジンオイルの交換基準は車種により異なります。正確なところは車に搭載されている取扱説明書を見るか、整備工場で聞いてください。そのうえで、メカラブがおすすめしている交換のスパンは以下です。
- ガソリン車・軽自動車:5,000km毎または1年
- ターボ付き(ガソリン車・軽自動車とも):5,000km毎または6ヶ月
これは「1kmでも超えたらダメ」という厳密な決まりではありません。取扱説明書にはもっと長いスパンが書かれている車種も多く、そこを少し過ぎたからといって、ただちにエンジンが壊れるわけでもありません。
ただ、エンジンオイルは走った分だけ確実に汚れて劣化していくもので、早めに替えておくほどエンジン内部の汚れや摩耗は少なくて済みます。少なくともクルマの寿命は延びますし、やって損になることはありません。長く乗りたい方、費用に余裕のある方は、このスパンで替えてみてください。
ターボが付いている車はエンジンも高回転になり発熱も大きくエンジンオイルにも負荷が高い為、エンジンオイルの交換頻度が多くなります。
関連記事:エンジンオイルの交換時期は1年毎を目安に!定期的に交換することのメリット
シビアコンディションの場合は早めの交換を
上記交換が目安となりますが、シビアコンディションの場合にはもう少し早い交換が必要です。シビアコンディションとは以下の場合を指します。
- 短距離での走行が多い。
- 長時間のアイドリングが多い。
- 山道や登坂車線などでの走行が多い。
- 悪路走行が多い。
このような走行が多い場合には通常の交換基準の半分でのエンジンオイル交換が必要となります。都心部での走行が多い場合にはシビアコンディションに当てはまるケースが多いです。またストップ&ゴーのような使い方が多い場合にもシビアコンディションになります。
エンジンオイルが空っぽ・劣化の前にオイル交換を
エンジンオイルが空っぽではすぐにエンジンが焼き付いてしまいます。またからっぽでなくても劣化していたり、エンジンオイルが少なくなると焼き付きの危険性が上がることが分かったと思います。車を使用する上でエンジンオイルは重要な役割を果たします。ぜひ安全で快適に車を使用する上でもエンジンオイルの交換は定期的に実施しましょう。交換タイミングが分からなかったり、エンジンの調子が良くないなど気づいた点があった際には整備工場への連絡をお願いします。




