エンジンオイルを見るとそれぞれ粘度と表して0W-20や5W-30などといった数字を見かけます。
着目すべきは後半の数字で、これがオイルの粘度の表しています。0W-20であれば”20″が粘度です。この数値が上がっていくほど、硬いオイルということになります。これはSAE規格といい粘度を表す表記になっています。
この記事ではエンジンオイルの粘度の見方に始まり、粘度ごとの特徴、選び方を解説しています。
自分の車の指定粘度の調べ方

粘度の意味を知る前に、まず自分の車に指定されている粘度を確認しておくと選び方に迷いません。指定粘度は主に3か所で確認できます。
- 取扱説明書のメンテナンスデータ(推奨粘度・代替粘度が明記されています)
- 給油口のキャップ裏やエンジンルーム内の指定ラベル
- 整備手帳・点検記録簿(過去に入れたオイルの粘度が分かります)
たとえばトヨタ ヤリス(M15A-FKSエンジン)の取扱説明書には、推奨粘度0W-16、代替粘度として0W-20・5W-30が明記されています(出典:トヨタ ヤリス取扱説明書)。指定粘度が分かったら、エンジンオイルおすすめ|整備士が車と乗り方から1本に絞る早見表で具体的な製品を絞り込めます。
エンジンオイルの粘度の見方

粘度に関わる表記として「シングルグレード」「マルチグレード」の2つがあります。
シングルグレード
シングルグレードはSAE20やSAE30のように表示され、数値が高くなるほど高粘度になります。
ひと昔まえまでは、このシングルグレードが一般的でしたが、夏場はSAE50のオイルに交換し、冬場はSAE20のオイルに交換するなど今よりも、オイル交換の手間が多かったのが特徴です。
高粘度であるほど、冬場の低外気温時の始動性が悪いことから冬は柔らかいオイルに変える必要がありました。
現在では技術の進歩により冬場にも対応したオイルが誕生しました。それがマルチグレードオイルです。
SAE規格
SAE(エスエーイー)規格とは、米国自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers)が「SAE J300」として定めた、エンジンオイルの粘度を分類する規格です。「アメリカ自動車協会(AAA)」とは別の団体で、オイル粘度の規格を定めているのはSAEです(出典:ENEOS 石油便覧)。
SAE規格が定めているのはあくまで「粘度」の分類です。エンジンオイルの品質・性能の等級(API・ILSACなど)は別の規格で決まっており、詳しくはエンジンオイルのグレード(規格)とは|SPやSNの意味を解説で解説しています。
シングル、マルチ問わず粘度はSAE規格が基準となっています。
マルチグレード
「0W-20」や「5W-30」のように一般的によく見る表記がこのマルチグレード。ハイフンの前が低温側の性能を示す数字(Wグレード)、後ろが高温側の粘度を示す数字です。低温側は数字が小さいほど寒さに強く、高温側は数字が大きいほど油膜が厚く、高温に強い特性を持ちます。
高温側の粘度は、SAE J300で100℃動粘度と、150℃・高せん断下での粘度(HTHS粘度)によって規定されています(出典:ENEOS石油便覧)。「後ろの数字が大きいほど暑さに強い」という理解でおおむね問題ありませんが、実際は100℃時点の油膜の厚さと、エンジン内部で高いせん断力を受けたときに油膜が切れにくいかという2つの試験値で決まっています。
現在では、冬場の始動性担保のためにこのマルチグレードが主流となっています。なので、Wの意味はWinter(冬)の意味になっているわけです。
| Wグレード | 0W | 5W | 10W | 15W | 20W | 25W |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 低温クランキング粘度の試験温度 | -35℃ | -30℃ | -25℃ | -20℃ | -15℃ | -10℃ |
この温度は「その気温まで問題なく走行できる」という意味ではなく、SAE J300で定められた低温クランキング粘度(CCS)の試験温度です。実際の使用可能温度域は、低温ポンピング粘度(MRV)という別の試験値もあわせて自動車メーカーが判断しています(出典:ENEOS石油便覧)。
数字が小さいWグレードほど、低温での始動性に余裕があるという目安になります。
日本であれば-15℃の環境になることは滅多にないため、Wの数字はほとんど気にする必要がないということになります。
後半の数字は先述のシングルグレードがベースとなっており、SAE30等は粘度を表しています。
粘度の違いによるオイルの特徴

粘度の違いによる差は一体なんなのか気になるところです。
粘度の違いは、前述のとおり100℃動粘度とHTHS粘度(高温・高せん断粘度)の違いとして規定されています。粘度が高いオイルほど高温下で油膜が厚く保たれやすく、粘度が低いオイルほどエンジン内部の抵抗(フリクション)が少なくなります。「粘度が高い=エンジンパワーが上がる」という単純な関係ではなく、車種ごとに指定された粘度の範囲内で油膜と抵抗のバランスが取れるよう設計されています。なお、油膜特性はベースオイルの種類によっても変わります。詳しくはエンジンオイルのベースオイルの種類|鉱物油や化学合成油の違いを解説で解説しています。
各粘度による特徴を下記から解説していきます。
低粘度オイルの特徴
低粘度オイルは0W-16や0W-20などが低粘度オイルに該当します。よく言われる表現でサラダオイルみたいにサラサラという表現が使われます。実際0W-20のオイルでもそこまでサラサラな印象は無いのですが、確かに柔らかいなぁという印象を受けます。
0W-20など低粘度オイルだとオイルが柔らかい分、エンジン内の抵抗が少なくなるため、燃費を向上させると言われています。
とはいえ、劇的に変わるかと言われたら誤差程度。というか変わってないのでは?と思ってしまうのが正直な感想です。個人的にはSAE30くらいのオイルが妥当なのかなと思います。
高粘度オイルの特徴
高粘度オイルはSAE50やSAE60が該当します。
高粘度オイルは高温下でも油膜が厚く保たれやすい特性があります。ですが、SAE50やSAE60といったオイルは非常に硬いため、ある程度高温にならないと、ただ抵抗になるだけで街乗りには適していません。
サーキット過などのスポーツ走行時には高粘度オイルは必須です。常にエンジンに負荷を与える走行時では、オイルがより軟化します。その時にSAE20など低粘度を入れていると、それこそサラダオイルのようにサラサラなオイルとなり、これでは気密性どころの話ではありません。ただの水同然のオイルになります。
高粘度オイルはこのように、高負荷を与える車に適したオイルとなっています。サーキットに行かれる方などは、ちゃんとこのオイルに交換をしておきましょう。
ちょうどよい粘度は30~40
最優先はメーカー指定粘度です。同じコンパクトカーでも、たとえばトヨタ ヤリス(M15A-FKS)は指定粘度0W-16・代替0W-20/5W-30と取扱説明書に明記されています(出典:トヨタ ヤリス取扱説明書)。指定粘度以外を入れると、出光興産も「0W-20推奨車以外に使用するとエンジントラブルが発生する危険性がある」と注意を促しています(出典:出光興産 apollostation)。「街乗りなら5W-30で問題ない」といった一律の目安ではなく、まず自分の車の指定粘度を確認することが先です。
指定粘度に幅がある車種では、10万kmを超えた車や高速道路をよく使う場合、指定範囲内でやや高めの粘度(10W-40寄りなど)を選ぶと油膜切れのリスクを抑えやすくなります。指定範囲を外れて硬いオイルを入れることは推奨されません。
エンジンオイルの粘度まとめ

意外とわかっていない方が多いオイル粘度に関する内容を解説しました。粘度は「何となく硬め・柔らかめ」で選ぶものではなく、まず取扱説明書やラベルで自分の車の指定粘度を確認し、その範囲内で選ぶのが基本です。オイル自体の値段の目安はエンジンオイルの値段はいくら?缶と量り売りの実売価格を整備士が解説、交換の目安時期はエンジンオイルの交換時期は1年毎を目安に!定期的に交換することのメリットで解説しています。




