この記事ではエンジンオイルを選ぶ時の指標や交換時期についてを詳しく解説しています。これからエンジンオイル交換を考えている方はぜひ参考にしてください。
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エンジンオイルの選び方
エンジンオイルの交換は最も身近なメンテナンスです。必ず経験することになるメンテナンスですが、いざオイル交換をするとなると、種類が多すぎて困ってしまいます。
結論としてエンジンオイルは「5W-30」を選んでおけば間違いはありません。
結論:5W-30がおすすめ
特にエンジンオイルにこだわりはないけど、安心して車に乗りたい!という方には「5W-30」のオイルがおすすめです。
エンジンオイルの役割はエンジンの保護です。エンジンを始動している間、常に金属同士が擦り合っているため金属摩耗を起こします。それを保護する役割を持つのがエンジンオイルです。
「5W-30」の”30″がオイル粘度になります。オイルを選ぶ際には後半の数字だけチェックすれば問題はありません。
エンジンにとって良いオイルは程よい固さを持つ粘度に成ります。最近では0W-20などの低粘度オイルが低燃費オイルとして販売されていますが、長期に乗ることを考えると相対的に30のオイルを入れていた方が効果的という見方もできます。
選び方2:過走行車や古い車には高粘度がおすすめ
つまり、高粘度であるほどエンジン保護には効果的ということになります。
ですので10万、20万キロを超える過走行車、もしくは負荷がかかりやすいターボ車やスポーツ走行が多い方には30よりもより高粘度なオイルが向いています。
一般的な街乗りレベルであれば先述の30のオイルを選んでおけば間違いありません。
選び方3:指定オイルの粘度よりも1段階高いオイルを選ぶ
他の選び方としては、取扱説明書などに記載された指定オイルの粘度より1段階高いオイルを入れるという選び方でも問題はありません。
指定外のオイルを入れたからといって壊れるという心配はほとんどしなくて問題ありません。どのオイルメーカーも基準をクリアして車両に入れて良いオイルを販売しているので、オイルが原因で故障するという話は聞いたことありません。
例えば0W-20が指定の場合は0W-30や5W-30。5W-30であれば10W-30や10W-40等のオイルを入れることです。
※図解「指定粘度の1段上」
とはいえ劇的に性能が向上するということはありません。あくまで選び方の1つとして念頭に入れておいてもらっても構いません。街乗りで利用するくらいであれば先述のように5W-30のオイルなどを入れておきましょう。
関連記事:おすすめのエンジンオイル
オイル粘度の見方
ざっくりと説明をしていましたが、オイル粘度について解説しましょう。
まず先述した「5W-30」ですが後半の数字である”30″はオイル粘度を表しています。数字が大きくなるほど高粘度になると覚えておきましょう。
対して”5W”の方は外気温に対応した表示となっています。ちなみに5W=-35℃でもエンジン始動ができるという意味になります。
この5W-30と表記のことをマルチグレードと言い、シングルグレードという表記がベースになっています。
シングルグレードとは
※図解「シングルグレード」
20や30などオイル粘度を表記するものを「シングルグレード」もしくは「モノグレード」と言います。SAE表示とも言われ、アメリカの米国自動車協会が定めた表記になります。
現在ではこの表記は古いものとなっており、一般では見かけることはありません。当時は冬の間は粘度の低いオイルに変えて、夏場は高粘度のオイルを入れることで始動性を担保していましたが、後述するマルチグレードオイルの登場により、この規格のオイルは一般的には無くなりました。
後述のマルチグレードオイルでは、このシングルグレードの規格をベースにして表記が作られています。シングルグレードに関してはほとんど覚える必要はありません。
マルチグレードとは
※マルチグレード
現在ではシングルグレードをベースにしたマルチグレード表記のオイルが一般的となっています。先述のシングルグレードで問題となっていた冬場の始動性を担保するために、低気温時でも始動できるよう対応したのがこの規格です。
よく勘違いされている方が多いのですが「5W-30」の「5W」が低温側の粘度、「30」が高温時の粘度と言った覚え方をしている方もいらっしゃいます。これは正しくは間違いで前半の数字である「5W」などのWはwinter(冬)の意味で間違ってはいないのですが、後半の数字が決して高温時の数字ではないと覚えておきましょう。
前半の数字は低温時に対応した数字となっています。
0W=-35℃
5W=-30℃
10W=-25℃
15W=-20℃
20W=-15℃
のようになっています。
正直、日本国内で使用するのであれば-15℃以下の気温になることは滅多にないため、前半のWの数字はほとんど気にしなくても問題はありません。
なのでそれなりに粘度のある「5W-30」を選んでおけば問題ないとしています。
関連記事:エンジンオイルの粘度の見方は簡単!愛車に合うオイル選び
エンジンオイルの種類について
ここからはエンジンオイルの雑学みたいなものになります。エンジンオイルにはたくさんの規格が存在し、それによって選ぶ基準にしている人も少なからずいます。
一般的な乗り方をしていれば気にする必要はないのですが、より詳しく知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
規格(グレード)とは
エンジンオイルの性能を表すのが「規格(グレード)」と言われるものです。
国などによって異なりますが、日本では全部で4種類存在し「API規格」「ILSAC規格」「JASO規格」「ACEA規格」が存在します。
5W-30の表記の前に「SP」などと表記されているのが、規格を表した文字になります。
この規格は、エンジンオイルの品質を定めるために設けられており、市場に流通するための認証システムという意味合いもあります。
API規格
省燃費性・耐熱性・耐摩耗性を表しています。
ランクのようなものが存在し、ガソリンエンジンではSAから始まり現在ではSPの13段階。ディーゼルオイルではCA~CF-4の14段階存在します。
ILSAC規格
API規格と共に表記される規格でAPI規格をさらに分類化した規格という覚え方で差支えありません。
低品質なオイルが生産された背景から、API規格では測れない性能を見るため、より厳しくするために設けられた規格です。
そのためAPI規格と並び表示がされています。
JASO規格
日本自動車規格によって定められた規格で日本独自の規格になります。主にバイクやディーゼルエンジンに対応したオイルに表記されます。
ACEA規格
先述のJASOは国内でしたが、こちらは欧州車向けの規格です。欧州車に乗らない限り、馴染みがないかもしれませんが、覚えておいて損はないでしょう。
ガソリンエンジン用がA規格、ディーゼルエンジンがB規格、ガソリン及びクリーンディーゼル社にC規格、大型ディーゼル用にE規格と設けられており、それぞれの規格に対してA1やA2のように表記がされます。
現在ではA規格とB規格が統合されA1/B1のように表記されるようになっています。
エンジンオイルに規格だけでも色々な種類が設けられていますね。正直ここら辺は選ぶ上ではバイク用か車用か?くらいの違いですが、パッケージでわかるようになっていたりするので無理に暗記する必要はありません。
関連記事:エンジンオイルのグレード(規格)とは|SPやSNの意味を解説
ベースオイルとは
一口にエンジンオイルと言っても、エンジンオイルすべてはオイルで構成されているわけではありません。およそ20%が添加剤で80%がベースオイルとなっています。
エンジンオイルのスペックに書いているベースオイルとはこの80%のオイルに何が使われているのかを明記してあります。このベースオイルにも種類は存在し、大きく分けて「鉱物油」と「合成油」が使われています。
鉱物油は原油から精製されたものを不純物を取り除いたものです。安いオイルはほとんど鉱物油です。
対して合成油。合成油は簡単に言うと加工されたオイルです。工程も掛かるため原価が高くなるのが特徴です。
つまり、エンジンオイルの値段はこのベースオイルに依存するところがあると思ってます。性能面よりも製造過程が複雑なため合成油系のオイルが高くなっているのではないかなと。
関連記事:エンジンオイルのベースオイルの種類|鉱物油や化学合成油の違いを解説
オイル交換の必要性
そもそもエンジンオイルの交換はする必要があるのか?と疑問に感じるところでしょう。実際、オイル交換を車検時の2年ごとにしか交換していないという方は多いです。
結論から言うと変えた方がいいが、変えなくても乗ることは可能です。ただ、劣化したオイルで走り続けたデメリットとしてエンジンの寿命を縮めることになり、結果として故障に繋がる危険性もあります。
整備士目線から言うと定期的なオイル交換はしてほしいです。
エンジンオイルの交換時期
オイル交換の目安としては1年ごとor5,000キロ毎に行うとされています。
明確にこの数値でないといけない根拠はないわけですが、オイル交換のたびに汚れたオイルを見ると定期的に換えるべきだなと感じます。
※交換前、交換後のオイル画像
筆者の場合は20万キロほど乗っている2004年式インプレッサに乗っているので3,000キロ毎でオイル交換をしております。※うち2回に1回はエレメントも交換
関連記事:エンジンオイルの交換時期は1年毎を目安に!定期的に交換することのメリット
オイル交換しなかった場合
オイル交換をしないで長期に渡り乗っていた場合にはオイルの白濁や油膜切れなどを起こし、結果エンジンの故障に繋がります。
オイルの白濁に関しては長期間放置している車によくありますが、油膜切れは年間で1万キロ以上走行しており、かつ車検の時にしかオイル交換をしていない場合などによく見られます。
油膜とは要はエンジンオイルの粘度が下がる劣化のことです。最悪の場合、オイル量も減り、エンジン焼き付きなどの原因にもなるので、あまりに長期間オイル交換をしていないのは非常に危ない状態です。
乗り換える予定がある。いつ壊れても良い。という場合であれば正直、オイル交換はしなくていいのかなとも思いますが、その心持ちであっても外出中に予期せぬトラブルが起こり結果レッカーであったり、予定に遅刻したりと行ったこともあります※筆者経験談
ですので、車両トラブルが不安な方は定期的にオイル交換をしてあげるようにしましょう。
オイルエレメントは定期的に交換を
オイル交換時にはオイルエレメントと呼ばれるフィルターの交換も必要になってきます。
こちらはオイル交換毎ではなく、2回に1回のペースで交換をしてあげるようにしましょう。オイルエレメントは、エンジン内を巡るオイルをろ過する役割があり、オイル自体の劣化を抑える役割もあります。
関連記事:【整備士監修】オイルエレメントの効果や交換時期を解説!フィルターと同義?
エンジンオイル交換の料金
オイル交換にかかる費用は「エンジンオイル本体」+「工賃」がかかってきます。
費用を安く抑えたい場合はエンジンオイル自体を安い物にして費用を抑えるといったこともできますが、乗用車クラスであればおよそ3,000~5,000円くらいの費用を見ておけば問題ありません。
安いところであれば工賃500円といった会社もございます。
ちなみに弊社では工賃は取らず一律1,000円/Lで交換を行っております。
関連記事:エンジンオイル交換費用の相場を徹底解説!最適な場所と節約方法も紹介
オイルの役割
エンジンオイルの基本的なことがまさかの最後になってしまいましたが、ここまで読んでくださった方はエンジンオイルの役割についてはある程度ご理解いただけたかと思います。
エンジンオイルには大きく6つの作用があります。
潤滑作用…エンジンは機械同士が擦りあって動いてます。その動きをよくするための作用です。
冷却作用…エンジンが発する熱をオイルが吸収し、冷却します。
緩衝作用…部品同士の接触部に作用し、部品ごとの劣化を抑制します。
防錆作用…薄い油膜を作ることで部品を保護し錆びを防止します。
密封作用…部品の隙間にオイルが入り込むことで気密性を高めています。
洗浄作用…エンジン内のゴミを蓄積しないようオイルで流します。
エンジンオイルには上記のような作用があり、これによりエンジンが保護されています。
関連記事:エンジンオイルの役割を解説
おすすめのエンジンオイル3選
実際にここまで見てみたけど、結局種類がたくさんありすぎて選べない…という方のために、用途別でおすすめのエンジンオイルをご紹介します。
1.スノコ「Svelt 5W-30 4L」
こんな人におすすめ▶「一般向け・特にこだわりがない方」
価格 | 6,000円前後/4L |
粘度 | 5W-30 |
API | SP |
ILSAC | GF-6A |
ベースオイル | 全合成油 |
SUNOCOはアメリカに本社を置くメーカーで日本では日本サン石油が製造販売をしています。
1Lあたり1,500円と安くはありませんが、API規格がSPでILSACがGF-6Aと最新のオイルとなっています。特にこだわりがなく、選ぶのが面倒だと感じた方には、こちらのオイルがおすすめです。
弊社でもSUNOCO製のエンジンオイルを使用しております。
2.カストロール「GTX ULTRACLEAN」
こんな人におすすめ▶「コスパが良い製品がイイ」
価格 | 3,000円前後/4L |
粘度 | 5W-30 |
API | SP |
ILSAC | GF-6 |
ベースオイル | 部分合成油 |
SUNOCOのSveltとほとんどスペックは変わらずに半分ほどの値段のため、比較的おすすめな点です。ホームセンターにもたまに見かけるので結構身近なオイルかなと思います。
3.TAKUMIMOTORオイル「Legends Legacy」
こんな人におすすめ▶「スポーツ走行する人」
価格 | 6,000円前後/4L |
粘度 | 5W-40 |
API | SP/CF |
ILSAC | – |
ベースオイル | HIVI |
個人的に紹介しておきたいだけ。だけどスポーツ走行に適したオイルです。40と少し固めですが、街乗りで使用しても特に問題ないレベルです。API規格を見るとわかるのですがディーゼルにも対応した汎用性の高いオイルです。
エンジンオイルに関するよくある質問
整備士である私が、仕事でお客さんからよく聞かれる、オイルに関する質問をまとめています。
定期的にオイル交換したほうが良いって言ってくるけど金儲けのためなんじゃないの?
先に言っておきたいのですが、お金儲けのためにこの仕事をしています(笑)
とはいえ、お客さんの言いたいことはわかります。
「そんな頻繁に交換する必要はないんじゃないか?」ということも知りたいんだと思います。
結論として、5,000km毎じゃなくても1万km毎でも問題はありません。でも交換は絶対に必須。
記事中で説明しているように、オイル交換を長いことしていないと、エンジン不調の原因になるなど、結果としてクルマの寿命を縮めることになります。
大掛かりな修理が必要になるか、突然クルマに乗れなくなり、買い替える必要が出てくるリスクなどを考慮すると、定期的なオイル交換はしておいたほうが無難に決まっています。
エンジンオイル基礎知識まとめ
エンジンオイルに関する基礎的な話を一挙しました。各項目ごとで詳しい話は別の記事でもしているので、より詳しく知りたい方はそちらにも目を通してみてください。
エンジンオイルに関してですが、正直市販されているものであれば、なんら問題ありません。自分で拘りたいという方はお気に入りのオイルを探すための参考になれば幸いです。