外車の車検が高くなるのは、税金や検査手数料が高いからではありません。検査手数料は車種で決まっており、重量税は車両重量、自賠責は車種区分で計算されます。どれも国産か輸入かでは変わりません。
差が出るのは、部品代と工賃です。加えて、輸入車は2025年10月からOBD検査の対象になり、検査に対応できる設備を持つ工場かどうかという条件が増えました。
この記事では、公表されている法定費用の金額を並べて「どこまでが同じで、どこから差が付くのか」を切り分け、依頼先を選ぶときに確認する設備の条件までを整理します。
法定費用は外車でも国産車でも同じ計算になる

車検で必ずかかる法定費用は、検査手数料、自動車重量税、自賠責保険料の3つです。いずれも国産車か輸入車かという区別で金額が変わる仕組みにはなっていません。
| 費用 | 何で決まるか | 外車かどうかの影響 |
|---|---|---|
| 検査手数料 | 申請の種別と自動車の種別 | 影響なし |
| 自動車重量税 | 車両重量と経過年数、車検期間 | 影響なし(重量が重ければ上がる) |
| 自賠責保険料 | 車種区分と保険期間 | 影響なし |
| 自動車税種別割 | 総排気量 | 排気量が大きい車種が多く、結果として高くなりやすい |
検査手数料は国土交通省の登録・検査手数料一覧表(令和8年4月1日現在)で公表されています。継続検査の普通自動車は、検査場へ持ち込む場合が2,600円、指定工場から保安基準適合証を提出する場合が2,100円です。輸入車だからという区分はありません。
自動車重量税も、財務省の資料のとおり車検期間と重量の区分で決まり、13年超と18年超で税率が上がります。自分の車の次回の税額は、国土交通省の次回自動車重量税額照会サービスに車台番号を入れれば確認できます。
自動車税だけは排気量で差が付く
毎年5月に納める自動車税種別割は総排気量で決まります。東京都主税局の税率表から自家用乗用車の年税額を並べると次のとおりです。
| 総排気量 | 年税額 |
|---|---|
| 1.5リットル超2リットル以下 | 36,000円 |
| 2リットル超2.5リットル以下 | 43,500円 |
| 2.5リットル超3リットル以下 | 50,000円 |
| 3リットル超3.5リットル以下 | 57,000円 |
| 3.5リットル超4リットル以下 | 65,500円 |
東京都主税局の税率表から抜粋(自家用・令和元年10月1日以後に初回新規登録を受けた車。グリーン化特例の適用を受けない場合)
2リットルの国産車が36,000円のところ、3リットルの輸入車なら50,000円です。この差は輸入車だからではなく排気量の差で、同じ排気量の国産車なら同じ金額になります。
差が出るのは部品代と工賃

法定費用を除くと、残るのは車検基本料と整備費用です。ここで金額が動く理由は3つに整理できます。
| 理由 | 見積もりへの表れ方 |
|---|---|
| 純正部品の調達 | 国内在庫がなければ取り寄せになり、部品代と納期に影響する |
| 専用の診断機と整備要領 | 車種ごとの診断機を持つ工場でないと受けられない作業がある |
| 作業時間 | 部品へ到達するまでに外す部品が多い車種では、そのぶん工賃が伸びる |
金額は車種、部品、作業範囲、依頼先で変わります。比較する場合は、同じ点検・整備範囲、部品条件、診断作業の有無で見積書をそろえて確認してください。
比べるときは、同じ作業範囲になっているかを見てください。交換する部品の種類、外す部品の範囲、診断作業を含むかどうかが違えば、合計額の比較には意味がありません。
関連記事:車検費用の相場はいくら?内訳と安く抑えるコツを整備士が解説【2026年版】
輸入車は2025年10月からOBD検査の対象になった

2024年10月から、車検の項目に電子装置の検査(OBD検査)が加わりました。国土交通省のOBD検査の案内によれば、対象は令和3年10月1日(輸入車は令和4年10月1日)以降のフルモデルチェンジ車で、検査の開始は令和6年10月1日(輸入車は令和7年10月1日)からです。
| 項目 | 国産車 | 輸入車 |
|---|---|---|
| 対象になる車 | 令和3年10月1日以降のフルモデルチェンジ車 | 令和4年10月1日以降のフルモデルチェンジ車 |
| 検査の開始 | 令和6年10月1日 | 令和7年10月1日 |
国土交通省「OBD検査とは?(ユーザー向け)」から
検査では、車に検査用スキャンツールを接続し、故障に該当する情報(特定DTC)がないかなどを確認します。自分の車が対象かどうかは、車検証に「OBD検査対象」と記載があるかで分かります。
依頼先は設備の条件で選ぶ

輸入車を扱えるかどうかは、看板ではなく設備と認証で決まります。令和2年4月に始まった特定整備制度がその線引きです。
国土交通省の自動車特定整備事業の案内によれば、従来の分解整備に加えて、取り外しを伴わなくとも装置の作動に影響を及ぼす整備または改造等が「電子制御装置整備」として対象になりました。自動ブレーキなどに使う前方監視カメラやレーダーの調整がこれに当たり、事業場や従業員、整備用スキャンツール等の工具について要件が定められています。
| 依頼先 | 強み | 確認しておくこと |
|---|---|---|
| 正規ディーラー | 車種専用の診断機と整備要領がそろっている | 交換部品が純正指定になるため、総額が上がりやすい |
| 輸入車を扱う整備工場 | 車種の作業性を見て部品の選択肢を出せる | 自分の車種の診断機を持っているか |
| 一般の整備工場 | 近くて相談しやすい | 電子制御装置整備の認証を受けているか。受けられない作業はどこまでか |
OBD検査の対象車を依頼する場合は、依頼先が対象車種のOBD検査と必要な診断に対応できるかを予約前に確認します。保有する診断機だけで可否を断定せず、車検証の「OBD検査対象」表示、車種、年式を伝えて回答を受けてください。
関連記事:車検の流れを最初から最後まで|依頼先別の手順と当日の持ち物を解説
費用を抑えるために見積もりで確認する3つ

見積もりでは、点検・整備の範囲、部品の条件、診断作業の有無、追加整備が必要な場合の連絡方法を確認します。総額だけでなく同じ条件で比較してください。
関連記事:車検には何日かかる?依頼先別の目安日数と早く終わらせるコツを解説
外車の車検に関するよくある質問

まとめ。同じ部分を差し引いてから比べる

外車の車検が高く見えるのは、法定費用が高いからではありません。検査手数料も重量税も自賠責も、国産か輸入かでは変わらない仕組みです。自動車税だけは総排気量で決まるため、排気量の大きい車種が多いぶん差が出ます。
総額を押し上げるのは部品代と工賃です。全国の相場として公表された統計はないので、自分の車の見積もりを作業範囲をそろえて比べるのが確実です。
依頼先を検討する際は、車検証の満了日と「OBD検査対象」表示、車種・年式を伝え、対象車のOBD検査や必要な整備に対応できるかを確認します。見積もりは法定費用、基本料、整備内容、追加作業時の連絡条件を分けて比べてください。




